地球上には約15億頭の牛がいる。そのほとんどは肉牛や乳牛として繁殖させられたり、飼育されたりしている。

牛は4つの胃をもつ動物だが、最も大きい胃はルーメンとも呼ばれる第1胃だ。成牛の場合、その容量はおよそ150~200リットルにもなる。

第1胃には1g当たり250億個という膨大な数の微生物が存在し、植物性繊維を発酵分解している。発酵の際には副産物として水素が発生する。そして、第1胃に常在するメタン細菌呼ばれる微生物群が、この水素をメタンに変換するのだ。

メタンはやがて、牛の“正面玄関”からはげっぷとして、“裏口”からはおならとして放出される。牛1頭がげっぷやおならとして発するメタンガスの量は、1日160〜320リットルに上る。環境にとっては迷惑千万な話といえよう。

気候変動に関する議論となると、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に重点を置いたものがほとんどだ。それも確かに正しいのだが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が明らかにした2015年の数値を見ると、メタンも世界の温室効果ガス排出量の16パーセントを占めている。近年の研究でも、メタンにはCO2の28倍もの温室効果があることがわかってきた。

(牛の「おなら」と「げっぷ」を退治せよ──科学者たちの大真面目な温暖化対策 参照)