理系大学生の実験レポート例1【核酸の抽出と定量】

どうも、とある理系大学生のSeigaです。
学生実験で核酸の抽出と定量を行ったので、その内容を書きました。
大した中身でもないですし、まだまだ学識のない者が書いたものなので信用に足らないものなのですが、今文系大学生もしくは将来理系大学生になる方へ
理系の実験レポートってこんな感じなんだよっていうのを知っていただければ幸いです(*´ڡ`●)
実験レポートの出来は不問でお願いします(・_・;)

A:細菌細胞からの核酸(DNA)の抽出と定量

[実験要約]

今回は大腸菌細胞、枯草菌細胞からDNAの抽出と定量を行った。まず大腸菌、枯草菌をL培地で一晩培養しマイクロチューブにてそれぞれ集菌を行い、リン酸カリウム緩衝液で細胞を洗浄した。

次に大腸菌と枯草菌の表層構造の違いを利用し、大腸菌はTEやSDSやプロテイナーゼKによって、枯草菌はそれらに加えてリゾチームも使用し細胞壁を除去した。次に不要高分子を除去するためにNaClとCTABを加えて細胞膜成分を落とし、タンパク質を変性させて分離させるためにクロロホルム-イソアミルアルコールを加えて有機層に含まれるタンパク質とRNAを除去してDNAのみにした。その後TE溶液にDNAを溶解しDNAをA260,A280の波長において測定しDNA濃度を求めた。結果的にDNAは260nmに吸収極大を持つため、A260の方が大きな値を示し、DNA濃度は大腸菌DNAが55.99mg/ml、枯草菌DNAは24.725mg/mlとなった

 

[実験目的]

核酸はDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の総称として呼ばれる。

核酸にはATPやGTPなどの生体内エネルギー分子やcAMPなどの情報伝達分子高分子などさまざまな物質が存在している。 この実験では遣伝子情報を保存しているゲノムDNA分子の岫出・精製を行う。 また、 回収したDNAを定量する。

すべての生物のゲノムDNAはアデ=ン、 チミン、 シトシン、 グアニンの4種類の核酸から成る。 その大きさは生物種によってさまざまではあるが、 2重らせん構造であり、細胞内では非常にコンパク トに折り畳まれている。例えば、 大腸菌ゲノムDNA は4.7X106塩基対からなり、 その大きさは直線に延ばすと直径2.4nm、 長さ1.6mmと非常に長い物質となる。 大腸菌細胞の大きさが1~1.5×2~6μmであることを考えるとその大きさが想像できるものと思います。

無傷なゲノムDNAを細胞から抽出・精製するにあたってさまざまな点に注意する必要がある。DNAの特徴として

( 1 ) 細長いゲノムDNAは物理的切断を受けやすい ・

(2) DNaseによって簡単に切断される。

このような特徴はDNAを取り扱う時には常に注意が必要である。また、ゲノムDNA を精製するとは、細胞に存在するタンパク質、脂質、RNAや、さまざまな低分子物質を効率良く除去する必要がある。DNAの物性とその他の物質の物性の違いを上手く利用して実験を進める必要がある。本実験では最もべーシックなDNA抽出・精製法について経験する。

DNAやRNAなどの高分子核酸の定量は一般に核酸がもつ紫外線 (260nm付近) 吸収を利用する。 この方法は非常に簡便で短時間で測定することができるため (試料の吸光度を測定するのみ)、 試料中のおおまかな核酸量を知りたい時に有効である。

 

[実験材料・試薬〕

・Escherichia coli HST02(F’[traD36, proA+B+, laclq, lacZΔM15]/Δ(lac-proAB), recA, endA, gyrA96, thi, e14-(mcrA-), supE44, relA, ΔdeoR, Δ(mrr-hsdRMS-mcrBC))

・Bacillus subtilis 168

・L培地(pH7.3,NaOHで調整、30m1X2本) ( 300m1三角フラスコを使用、シリコ栓、オートクレープ)

トリプトン 10 g/l

酵母エキス 5 g/l

NaCl 5 g/l

・TE緩衝液(50m1、オートクレープ滅菌)

10mM Tris-HCI緩衝液(pH8.0、Tris溶液をHCIでpH調整、その後Tris濃度10mMに調整)

1mM EDTA-2Na (pH8.0、NaOHでpH調整)

・5%SDS溶液( 1m1、未滅菌)

HCIでpH7.2に調整。溶けにくい場合は68 ℃まで暖めることができる。

・20mg/mlプロテイナーゼK溶液(要冷蔵、調製剤、50μl)

20mg/mlになるように滅菌水で調製、 保存は-20 ℃

・100mg/ml リ ゾチーム溶液 (要冷蔵、1ml)

リン酸カリウム緩衝液に溶解する。

・5M NaCl溶液(調製済、1ml)

蒸留水で調整後、オートクレープ滅菌

・10%CTAB溶液 ( 0.5ml) 蒸留水で調製、溶けにくい場合は65 ℃まで暖めてもよい。

・クロロホルムーイソアミルアルコーノレ(調製済、5ml)

24量のクロロホルムに対して1量のイソアミルアルコールを混合

・フェノール溶液(調製済、2.5ml)

フェノールを68 ℃で融解後、終濃度0.1 % 8-ヒドロキシキノリンを加え、1M Tris-HCI (pH 8.0)でpHが7.6以上になるまで平衡化。最後に、等量の0.2%βメルカプトエタノールを含む0.1M Tris-HCI (pH8.0)で平衡化。保存は4℃。(TE飽和フェノールでも可)

・フェノールークロロホルムーイソアミルアルコール(調製済、要冷蔵、5m1)

フェノール溶液とクロロホルムーイソアミルアルコールを等量加える。2層の下層部を使用する。保存は4℃。

・3M酢酸ナトリウム溶液(調製済、0.5ml)

蒸留水で調製。 氷酢酸でpH5.2に調整。 オートクレーブ滅菌

・イソプロバノール(3ml)

・70 %エタノール(10ml)

 

[使用機器]

・遠心分離機(マイクロチュープ用)

・プロックヒーター (37℃と 65 ℃ 各1台 マイクロチューブ用)

 

[使用器具〕

・シリコ栓付三角フラスコ(300ml):1本

・ビーカー(100ml):1個

・マイクロチュープ(多数)

・マイクロチュープスタンド: 1個

・ピペットマン( P20 , P200, P1000各一本)

・チップ(多数)

・試験管( φ 1 .6 x 10)とアルミキャップ: 10組

・試験管スタンド

・ビール手袋(有機溶媒を取扱う時に使用)

・油性マジック

・ビニーノレテープ

・はさみ一脚

 

[実験操作]

1日目

1.必要な試薬(5%SDS溶液、10%CTAB溶液と100m/mlリゾチーム溶液)の調製
2.集菌

まず、各バクテリア培養液の濁度を 測定した(A650)。 培養液1.5mlをマイクロチュープに回収し、遠心分離処理( 12 ,000rpm, 2 min、4℃) した。上澄み液を、可能な限り、除去する(大腸菌および枯草菌それぞれ2本ずつ作製し、1本はタンパク質定量【B実験】に利用した)。

3.洗浄

回収した細胞に、1 mlの50 mMリン酸カリウム緩衝液を加え、細胞を再懸濁した。遠心分離処理(12,000rpm, 2min, 4℃ )で細胞と上澄み液に分離し可能な限り、 上澄み液を除去した。

4.細胞溶菌処理 

回収したバクテリア細胞にTE溶液(0.445ml)、5%SDS溶液(0.050ml、20mg/mlプロテイナーゼK溶液(0.005ml)を加えてよく混和した。 枯草菌細胞の場合、 さらに、100mg/mlリゾチー   (0.05mL ) を添加しておく。 その後37℃で1時間保温。

5.不要高分子物質の除去

処理後の試料に5M NaCl溶液(0.095ml)、10% CTAB溶液(0.066ml)を加え、よく混和した。(65 ℃で20分間保温)

6.除タンパク質処理1

処理後の試料に等量のクロロホルムーイソアミルアルコール溶液(0.6ml)を加え、よく混和後、遠心処理(12,000rpm×3min)し、上層を別のマイクロチューブに回収した。

7.除タンパク質処理2

回収した溶液に等量のフェノールークロロホルムーイソアミルアルコール溶液(0.6ml)を加え、よく混和後、遠心処理( 12,000rpmX3min)し、上層を別のマロチュープに回収した。【回収量を、ピペットを用いて測定した】

8.高分子核酸の回収

回収した溶液に1 / 10容量3M酢酸ナトリウム溶液(0.060ml)を加え、混和後、一イソプロバノール(0.36ml)を穏やかに混和した。しばらくするとひも上のDNAが出現した。その後、遠心処理( 12,000rpm×10min)でDNAを回収した。 回収したDNAを70 %エタノール( 1m1)でリンスした。 その後のDNAを乾燥した。DNA試料は-80℃保存した。

2日目

10.核酸試料の調整

    ゲノムDNAをTE(1.0ml)に溶解した。

11.試料のDNA濃度測定

必要に応じて試料をTE緩衝液で希釈し、A260と(必要に応じてA320) を測定した。測定値から取得したDNA濃度を算出した。

 

[算出方法]

DNAおよびRNAは260nm付近に吸収極大をもっている。I()mm光路長のセルを用いると260nmでの吸光度1.0の時、DNAでは50μg/ml、 RNAでは40μg/mlとなる(低分子核酸の場合は経験的に33μg/ml)。また、溶液のパックグラウンド補正にA320の値を用いる場合がある。なお、純粋なDNAの場合A260/A280 は1.8、RNAの場合は2.0となる。

( 2 )オリゴヌクレオチドの場合

オリゴヌクレオチド(pmole/μl) =100/(1.5A+0.71C+1.20G+0.84T)ここで、ACGTはオリゴヌクレオチド内のそれぞれの総数

 

[実験結果]

  • 回収した溶液中のDNA濃度

回収した大腸菌と枯草菌の吸光度は以下のようになった。

(表1)大腸菌と枯草菌の吸光度(A260nmとA280nm)

 

A

260nm

280nm

大腸菌番号

1

0.93

0.657

 

2

0.799

0.508

 

3

1.08

0.607

 

(2倍希釈)3’

0.621

0.376

 

4

1.189

0.65

 

(4倍希釈)4’

0.377

 

枯草菌番号1

1

0.429

0.333

 

2

0.366

0.277

 

3

0.452

0.352

 

4

0.731

0.48

表1より、大腸菌のDNA濃度をXとした時、DNAおよびRNAは260nm付近に吸収極大をもっておりI()mm光路長のセルを用いると260nmでの吸光度1.0の時DNAでは50μg/mlであることから、以下の関係式が成り立つ。

  • 0 : (それぞれの吸光度の値) = 50 :   ・・・①

仮に、大腸菌番号1のDNA濃度を①を用いて求めると

 1.0 : 0.930 = 50 : X

X= 50×0.930

 = 46.5mg/ml

このようにして、大腸菌と枯草菌のDNA濃度をすべて求めると以下のようなる。

表(2) 大腸菌、枯草菌に含まれるDNA濃度

 

 

A260 mg/ml

大腸菌番号

1

46.5

 

2

39.95

 

3

62.1

 

4

75.4

枯草菌番号

1

21.45

 

2

18.3

 

3

22.6

 

4

36.55

表(2)より、大腸菌のDNA濃度の平均は、55.99mg/ml

枯草菌のDNA濃度の平均は、24.725mg/ml となった。

  • A650=1.0の培養液1mlあたりのDNA量(質量)

大腸菌のDNAは1mlでA650(吸光度1.067)のとき、0.479mgであるから、A650=1.0のときは、

  • 479×1.0/1.067=0.449mg

 

    枯草菌のDNAは1mlでA650(吸光度0.725)のとき、10.277mgであることから、A650=1.0のときは、

         10.277×1.0/0.725=14.175mg

 

[検討項目]

  • 他の核酸抽出法(染色体・プラスミド)について調べなさい。

限外ろ過膜法

 限外ろ過法は、半透膜を用いて高分子サンプルと低分子物質を分離する方法である。濃度差を利用した受動拡散の透析法と異なり、圧力をかけるか遠心操作によって強制的に低分子溶液の膜通過を行う。水(溶媒)や低分子物質は膜を通過し、高分子サンプルは膜上で濃縮される。さらに限外ろ過膜は2つの層で構成されている。表側の面上にあるのがスキン層で、この表面で分子を捕捉する。その下に、サポート層という粗い層があり、スキン層を支える役割を果たす。

 

イオン交換膜樹脂を用いた核酸抽出法

プラスミドDNA、ゲノムDNA及びRNAは互いに類似した電荷特性を有しており、高い電荷密度を有するポリ陰イオンである。したがって、吸着すべき核酸の鎖長及びコンホメーションに応じ、最大0.7Mの塩化ナトリウムの存在下で正に帯電したイオン交換樹脂に結合することが可能である。

核酸鎖長の増加並びに二本鎖コンホメーションは、核酸と陰イオン交換体との間の結合強度の増加をもたらす。

 

ガラス(シリカ)繊維を用いた核酸抽出法

シリカビーズやシリカメンブレンフィルタなどのシリカ担体を用いて、これらシリカ担体の表面に核酸を高濃度のカオトロピック塩(塩酸グアニジン、グアニジンチオシアネートなど)を含む溶液中で選択的に吸着させる方法が用いられている。この方法によれば、危険な試薬を用いることなく、シリカ担体から核酸を容易に単離させることができ、効率的に核酸を回収することが可能である。

(2)他の核酸濃度測定法について述べなさい。

NanoDrop

UV 吸光度測定法を原理とする極微量分光 光度計の NanoDrop 法がある。これは核酸が UV を吸収することを利用し,260 nm の 吸光度から DNA 濃度を測定する。検体の希釈や専 用試薬が不要で操作が簡便であることから広く用いられている。

Qubit

double strand DNA (dsDNA)を特異的に蛍光測定する Qubit 法もある。これは専用チュー ブ内で DNA を専用試薬で希釈し,Qubit 機器本体に チューブを挿入して DNA と結合した蛍光強度からDNA 濃度を測定する方法である。

 

[実験考察]

表(3) 大腸菌と枯草菌のDNA純度

 

 

A 260/280

大腸菌番号

1

1.415

 

2

1.572

 

3

1.651

 

4

1.829

枯草菌番号

1

1.29

 

2

1.32

 

3

1.28

 

4

1.52

考察として、大腸菌と枯草菌のDNA純度について調べる。純粋なDNAの場合A260/A280 は1.8、RNAの場合は2.0となることをもとに表(3)を検証してみる。

大腸菌番号4はA260/A280の値は、1.829となる。これは純粋なDNA1.8の値と近いと言えるが、その他の値が1.8を下回ってしまっていることからRNAはほとんど含まれていないことがわかる。

 

[参考文献]

 ・Thermofisher scientific

https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/protein-basic5/

・DNA分離膜 (森 寿弘)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/54/8/54_8_568/_pdf/-char/ja

・高分子多孔質メンブレンを用いた迅速かつ簡便な核酸抽出システムの開発 (牧野 快彦、 森 寿弘)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/54/8/54_8_568/_pdf/-char/ja

 

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