理系大学生の実験レポート例3【薄層クロマトグラフィー定性分析】

どうも、とある理系大学生のSeigaです。
学生実験で大腸菌リン脂質の薄層クロマトグラフィーによる定性分析を行ったので、その内容を書きました。
大した中身でもないですし、まだまだ学識のない者が書いたものなので信用に足らないものなのですが、今文系大学生もしくは将来理系大学生になる方へ
理系の実験レポートってこんな感じなんだよっていうのを知っていただければ幸いです(*´ڡ`●)
実験レポートの出来は不問でお願いします(・_・;)

C:大腸菌リン脂質の薄層クロマトグラフィーによる定性分析

 

[実験要約]

今回の実験では大腸菌細胞からリン脂質を抽出し、TLCによる分離分析を試み、リン脂質の回収方法およびTLCの分析方法を行った。具体的には、各スポットのRf値を求め、それがどの化合物と同じになるのかを化合物のRf値と比較して調べた。結果的に、どのスポットがフェスファチジルエタノールアミン(PE)、フォスファチジルグリセロール(PG)、カルジオリピン(CL)のいずれかになったか全ては分からなかったが、なぜその様な結果になったのかを考察した。

 

[実験目的]

脂質はタンパク質や糖質などとともに生体 の主要成分であるが,エーテル,アルコール,アセトン,クロロホルム,ベンゼンなど,いわゆ る脂溶剤に溶けやすいことが他の生体成分と大いに異なる点である。しかし,複合 脂質と呼ばれるものになると,リン酸基,水 酸基(アルコール性),アミノ基などの極性基 を構成成分にしている関係から水に対す る溶解性が著しく増大する。

特に、リン脂質は細胞の膜成分として非常に重要な物質である。膜に含まれるリン脂質の機能は細胞内と細胞外との物理的隔離であり、親水性物質の移動を制限している。さらに細胞内情報伝達経路にも関与している。

細菌細胞の細胞膜に存在する主なリン脂質は、フォスフアチジルエタノールアミン (PE)、フォスフアチジルグリセロール(PG)、およびカルジオリピン(CL)である。この実験では大腸菌細胞からリン月旨質を抽出し、TLCによる分離分析を試み、リン脂質の回収方法およびTLCの分析方法を習得することを目的とする。

 

[実験材料・試薬]

 

 ・Escherichia coli HST02

 ・L培地:60ml

 ・リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH8.0)

 ・メタノール(クロマトグラフ用)

 ・クロロホルム(クロマトグラフ用)

・展開溶媒(60ml) :クロロホルム:メタノール:酢酸(130 : 50 : 8)

・フォスフアチジノレエタノールアミン( PE)溶液( 100μl) : 5m L-住-ホスファチジノレエタノールアミンジパルミトイル(クロロホルム-メタノール溶液(2 : 1) )

・フォスフアチジルグリセロール(PG)溶液( 100μl) : 5 mg/ml L-住-ホスフアチジル-DL-グリセロールジパルミトイル(クロロホルム-メタノール溶液(2 : 1))

・カルジオリピン(CL)溶液臼(100μI) : 5m

カルジオリピン(エタノール溶液)

・TLCプレート: Silicagel 60TLCガラスプレート(20cm×20cm, Merck社)各班 1枚

・リンモリプデン酸エタノール溶液( 10g / 100ml) :東京化成工業社製(調製済、約5mI)

 

[使用機器]

・恒温振盪槽(37℃ )

・乾熱器( 120℃ )

・デシケータ(シリカ入)

・小型遠心器

・プロックヒーター

 

[使用器具〕

・シリコ栓付試験管(φ1.8×18cm) : 1本

・シリコ栓付300m1三角フラスコ: 1本

・ガラス製試薬瓶( 100ml) : 2本

・集菌用試験管(φ1.6X10) :各自2本

・ネジ付試験管各自1本

・パスツールピペット(必要に応じて)

・ピペットマン(P20、P200、P1000)

・チップ(各種)

・展開槽

・噴霧器

・鉛筆

・スケッチ用紙

・ビニールテープ

・油性マジック

 

[実験操作]

1日目(脂質成分の抽出)

 

1 .細胞調製

前培養液2mlを本培養液50ml L培

地 (三角フラスコに植菌する。 植菌後、 A650=0.3~0.5になるまで培養した。 5 ml/l 名の培養液を遠沈管に回収し、遠心器(8,000rpm×5分, 4℃)にて細胞を回収した。 培養上澄み液は廃棄した。

 

2 .リン脂質調製1

回収した細胞を1ml/l 名のリン酸カリウム緩衝液で懸濁した。懸濁した細胞を共栓付の試験管に移し、2.5mlのメタノールと1.25mlのクロロホルムを加え、激しく、約2分間懸濁した。

 

3 .リン脂質調製2

さらに1.25同のクロロホルムを加えて約1分間激しく攪拌した。次いで1.25ml のリン酸カリウム緩衝液を加え、約1分間激しく攪拌した。

 

4 .リン脂質調製3

懸濁液を1本の集菌用試験管に分注し、遠心分離処理(3 ,000rpm X 5分)を行った。 遠心後、 懸濁液は3層に分離した。 この下層部分を回収し、 別のネジ付試験管に移した。

 

5 .リン脂質調製4

回収したクロロホルム層をプロックヒーター(60 ~70℃ )で蒸発させた。完全乾固後、0.1のクロロホルムに溶解し、冷蔵庫で保存した。

 

2日目(TLCによる脂質成分の分離)

 6 .TLCプレートの活性化

今回使用するTLCプレートはシリカ製であり、水分の吸着は分離能を低下させる。このため、使用前に水分除去を行った。方法は、120℃で30分間処理後、デシケータ(乾燥剤入り)内で室温まで戻した。

 

7 .展開層の準備

展開溶媒を作製し、展開層に深さ5mm程度になるように注入した。注入後は展開層のフタを閉め、層内を十分に展開溶媒で飽和させたから使用した。

 

8 .試料の添加

TLCプレートに試料添加位置を鉛筆で印をつけた。試料添加量は5 , 50μlとする。添加スポットが広がらないように少量に分けて添加した。スポット範囲が広がる場合は一旦中断し、添加した試料を乾燥させた。コントロール試料としてフォスフアチジルエタノールアミン(PE)、フォスフアチジルグリセロール(PG)、およびカルジオリピン(CL)溶液(10μl)をスポットした。添加した試料が完全に乾燥するまで放置した。

9 .展開

試料をスポットしたTLCプレートを展開槽に移し、 展開先端がプレートの50-60 %程度まで展開を続けた。 展開終了後、 プレートを展開槽から取出し、 乾燥させた。

 

10 .リン脂質スポット

リン脂質のスポッ ト検出にはリンモリプデン酸溶液(モリプデンプルー試薬)を用いた。本試薬をプレート上に噴霧し、静置( 180℃ , 10-20分程度) するとリン脂質は青色に染色された。染色されたプレートをケント紙などでスケッチした。

 

10’ .リン脂質のスポットの検出(変法)

上記以外に10 %硫酸十エタノール溶液を用いる方法もある。本溶液をドラフトチャンバー内でプレートに噴霧後、乾燥させ、180 ~250℃で20 ~60 分間保温する。リン脂質スポットは茶色~黒色に呈色する。呈色したプレートをスケッチする。

 

11 .Rf値の算出

TLCでの展開では、化合物によって移動度が異なることが知られている。

その移動度を瓩値として示す。値は以下の式から算出される。

 

Rf値 (化合物の移動距離の / (溶媒の移動距離α)

 

すべてのスポッ トの瓩値を算出し、 コントロールからそれぞれのスポットの化合物を同定した。

 

[実験結果]

  • 試料中のスポットのRf値とそれぞれの化合物名

試料中のスポットのRf値は以下のようになったので、表にしてまとめた。

 

表(1)各スポットのRf値

スポット番号

1

 

2

 

3

 

4

 

5

 

試料添加量(μl)

5

50

5

50

5

50

5

50

5

50

溶媒の移動距離α(cm)

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

11.3

化合物の移動距離β(cm)

4.6

5.5

5.3

5.7

6

6.2

6.5

6.9

5.5

5.2

Rf値

0.407

0.487

0.469

0.504

0.531

0.549

0.575

0.611

0.487

0.46

 

 また、PE, PG, CLのRf値は以下のようになった。

              

表(2) PE,PG,CLのRf値

 

PE

PG

CL

Rf値

0.398

0.434

0.761

 

それぞれの化合物名だが、表(1),(2)より

スポット番号1の試料添加量5μlは、PEであることが、スポット番号5の試料添加量50μlはPGであることがRf値を比較することにより分かる。しかし、その他のスポットがどの化合物になるかは、Rf値から判断するのは難しい。どうしてこの様な結果になったのか、実験考察で述べる。

 

[検討項目]

  • 細菌細胞表層の特徴とそれぞれの特性について示せ

    細菌は、遊泳状態をとったり固体表面に付着したり、また、宿主細胞に付着したりして環境に適応するときに、糖を中心とする細菌細胞表層の物質を変化させます。また、病原菌の病原性や抗生物質感受性が細胞表層物質により決まることが知られています。環境中の細菌の多くは何かものに付着して棲息している。これら細菌の付着に細胞表面の特性が強く関与している。細菌細胞の表面は通常マイナスに荷電しているが, 増殖速度が小さい菌株ほど負荷電が小さく, かつ疎水的な傾向がある。細菌の細胞表面には種々のポリマー層があり, そのため細菌は柔らかいコロイド粒子としての特徴を有する。

 

 (2)細胞壁成分の調製方法について示せ

アノレカリ処理による法  

乾燥 菌体を109//00〃の割合に,o.05w-NaOHに懸濁し, 37.Cに24時間保温して後遠心分離して不溶区分を集める。この操作を紫外部吸牧性物質の溶出しなくなる章で 反復して後,不溶区分を50%酒精(0.05W-HC1含有) で数回洗浄し,ガラスフィノレター上の無水酒精で2回、 アセトンで3回洗浄後,工一テノレで脱水し硫酸デシケー ターに乾燥して,白色の紬胞壁試料(以下CWAと略言巳 する)を得た。

 

音波処理による法  

乾燥菌体約29を50%酒精 100〃に懸濁し,Raython音波発生装置により,10KC で20分間処理したものを遠沈して残存不溶固形分を得 る。これを0.1五∫一リン酸塩緩衝液(pHニア.0)で数回 洗浄して後,前法と同様に溶剤で洗浄脱水乾燥して白色 の糸田胞壁試料(以下CWBと略記する)を得た.  

 

音波処理とアノレカリ処理とを併用する法

上記 の音波処理による方法で得た細胞壁試料(CWB)を,さらに(1)の 方法で処理して白色の紬胞壁試料を得た。

 

[実験考察]

Rf値のみで各スポットの化合物が特定できなかった理由

図1のTCLプレートの画像を見ると、スポット番号3試料添加量50μlはしっかりと溶けていて、3つに分離しているのが分かる。だが一方で、スポット番号5試料添加量5μlのように溶け切れず、分離していないものも存在する。

この原因は、脂質分子は多かれ少なかれ不飽和結合を含んでいるので,酸素,光,熱が作用すると自動酸化を受けやすく, とりわけ,リン脂質類はリン酸基やアミン塩基などの極性基を含むために加水分解などの変化を受けやすいという特徴を持つためであると考えられる。

実験室内の酸素や光、実験者の手から発せられる体温などが脂質分子の自動酸化を誘発させ、さらに、加水分解による影響をも受けてしまったのではないかと思われる。また、可能性として以下のことも考えられる。

脂質の抽出や分離精製のための溶媒はよく精製したものを用いる必要がある。脂質が酸化重合などの変性をきたすだけでなく、溶媒中の不純物が脂質に付加して二次的化合物に変わってしまう恐れもあるからである。溶媒に何らかの不純物が入ってしまった可能性も低いが考えられる。

 

[参考文献]

納豆菌細胞壁の生化学的研究

岩原章二郎1松本宗人(農産製造学研究室)

 file:///C:/Users/Seiga%20Daigo/Downloads/d0020010n016.pdf

 

東邦大学理学部生物分子化学科 藤崎研究室

https://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/biomol/hujisaki/

 

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