理系大学生の実験レポート例4【バイオアッセイ法力価測定】

どうも、とある理系大学生のSeigaです。
学生実験でバイオアッセイ法による抗生物質の力価測定を行ったので、その内容を書きました。
大した中身でもないですし、まだまだ学識のない者が書いたものなので信用に足らないものなのですが、今文系大学生もしくは将来理系大学生になる方へ
理系の実験レポートってこんな感じなんだよっていうのを知っていただければ幸いです(*´ڡ`●)
実験レポートの出来は不問でお願いします(・_・;)

D:バイオアッセイ法による抗生物質の力価測定

 

[実験要約]

抗生物質は細菌を死滅させたり、細菌の増殖を抑制する効果があるため、その増殖阻害効果を定量して力価を測定した。具体的には、均一に塗布した生菌に抗生物質を染み込ませたペーパーディスクを平板培地上で静置させた。その後、抗生物質を染み込ませたことによって形成される阻止円の半径をノギスを用いて測定し、未知試料のクロラムフェニコール濃度を力価検定法でもとめた。

 

[実験目的]

力価とは生物活性物質の活性の高さを適当な単位で表したものである。 例えば、酵素におけるユニットや比活性などが挙げられる。抗生物質においては一般には特別な単位系を別に設定するのではなく、質量系で代用されることが多い。 例えばmg/mlなどである (精製された抗生物質のカ価を基本としているためである)。 このため、溶液中に含まれている化合物(ここでは抗生物質となるが) の質量と混同される場合があるが、 本来の質量とは測定方法が異なるため、 注意が必要である。

さて、抗生物質のカ価を測定する方法に大きく分けて2通りの方法が考案されている。 寒天平板法と比濁法である。 どちらも生物を利用する点では同一である。 本実験ではペーパーディスクを用いた寒天平板法を用いたバイオアッセイ法でのカ価測定を行う。

抗生物質は細菌を死滅あるいは細菌の増殖を抑制させる、微生物が生産する化合物である。このため、その増殖阻害効果を定量してカ価を測定する。今回用いる寒天平板法では、平板培地上に均一に塗布した生菌に抗生物質を含ませたべーパーディスクを静置する。 その後、 培養する。 抗生物質を含ませたペーパーディスクを中心に菌の生育が阻止された円形の領域 (阻止円) が形成される。 この阻止円の大きさは、 一般に抗生物質のカ価に対応することが知られ、 カ価(P) と阻止円形の直径 (d) との間には以下の関係が成立する。

d= αlog P + β

ここでのαとβは定数であり、この関係が関係する力価(濃度)範囲は試験に用いた菌株および抗生物質の濃度による。

 

[実験材料・試薬]

・Escherichia coli HST02

・3種類のL培地

→L液体培地: 25m1 (5m1は前培養用、20mlは本培養用)

→L寒天( 1.5%)培地: 220m1 

→L寒天(0.7%)培地: 30同

・クロラムフェニコール( 10mg/ml、0.6m1in 50%エタノール) :希釈には滅菌水を使用する

 

[使用機器]

・恒温振盪槽(37℃)

・恒温槽(培地保温用 45-50℃ )

 

[使用器具]

・前培養用試験管 (φ1.8×18cm、シリコ   栓付) = 1本

・本培養用三角フラスコ ( 100ml、 シリコ 栓付) = 1本

・L寒天(1.5%)培地作製用三角フラスコ (500ml容量) :1本

・L寒天(0.7%)培地作製用三角フラスコ(100同容量) : 1本

・ディスポーザプルピペッ ト (20ml) :各2本

・プラスティックシャーレ:10枚 (内9枚使用)

・ペーパーディスク: 40枚

・ノギス

・ピペットマン(P20、P200、P1000、P5000)

・チップ(各種)

・油性マジック

・片対数グラフ

・関数電卓

 

[実験操作]

 

1日目

1 .平板培地の調製

この平板培地は下層にL寒天( 1.5 %)培地20m1と上層に試験菌入りL寒天 (0.7%)寒天培地2.5m1の重層平板培地となる。

・L寒天( 1.5 %と0.7% )培地を所定量作製し、オートクレープ処理をする。

・オートクレープ後、 L寒天 ( 1.5 %) 培地をよく攪拌し、 1プレートあたり約20m1ずつ分注し、 完全に固まるまで静置。 (水滴がシャーレ内面または培地上に発生した場合には、 クリーンべンチ内でフタを少し開けて乾燥させる) 

・ 下層培地が固まった後、 上層の培地の重層に取り掛かった。 まず、 L 寒天 (0.7%) 培地をよく攪拌後、 A660=0.5の試験菌を1.5 %混合し、 よく攪拌した。

・試験菌入りのL寒天( 0.7%)培地、2.5m1を下層寒天プレートに均ーに注ぎ、静置した。 この9枚を検定用平板プレートとした。

 

2 .試験菌の調製

本培養用培地に前培養液0.2 mlを添加した。その後、37℃でA660=約0.5 まで振盪培養した(約1 ~2時間培養)。この培養液を試験菌とした。

 

3 .クロラムフェニコーノレの調製

1.0、2.5、5.0、7.5、10mg/mlのクロラムフェニコールと未知試料、1 /2濃度の未知試料を必要量調製した。1枚の検定用平板プレートにペーパーディスクを4枚使用した。その内2枚は標準濃度(2.5mg/ml)、残りの2枚は既知濃度あるいは未知試料のクロラムフェニコールとした。ペーパーアイスク 1枚には20μlのクロラムフェニコール溶液を注入し、乾燥後、検定用平板プレートに設置した。

プレート番号

1

2

3

4

5

6

7

8

9

既知(未知)試料

1.0mg/ml

2.5mg/ml

5.0mg/ml

7.5mg/ml

10mg/ml

未知試料

未知試料

1/2未知試料

1/2未知試料

 

4 .培養

ペーパーディスクを設置したプレートはすぐに、37℃で培養を開始した。 一般の平板培養ではコンタミネーションを防ぐために、プレートを逆さにするが、今回の場合は、ペーパーディスクが剥がれるため、順向きで培養した。

 

2日目

7 .阻止円の測定

培養終了後、すべての阻止円の直径をノギスで測定した。ーつの阻止円に対して直径を2箇所測定した。2箇所の設定は、最も長い直径と最も短い直径とした。

 

8 .既知(未知)試料の阻止円直径の補正

以下の簡易検定法第2法を用いて補正した。

Yx=Y’x十(Ys—Y’s)

Yx :阻止円直径の補正値

Y’x :阻止円直径の実測値

Ys :すべてのプレートの標準濃度の 阻止円直径の平均値

Y’s :各プレートの標準濃度の阻止円直径の平均値

 

9 .未知試料濃度の決定

標準試料の阻止円直径の補正値を用いて、試料濃度と阻止円直径との関係式を、最小二乗法を用いて導き出し、その関係式から未知試料濃度を算出した。

 

[実験結果]

  • クロラムフェニコール濃度と阻止円直径との関係式

 

表(1)各プレート内の阻止円のYx, Y’x, Ys, Y’sの値

 

1 mg/ml

2.5mg/ml

5mg/ml

7.5mg/ml

10 mg/ml

 

 

 

 

プレート番号

1

2

3

4

5

6

7

8

9

Yx

19.03

25.58

30.95

32.62

34.91

30.36

31.20

29.62

29.92

Y’x

18.93

26.45

32.23

32.55

32.35

31.11

32.15

29.06

29.38

Ys

26.20

26.20

26.20

26.20

26.20

26.20

26.20

26.20

26.20

Y’s

26.09

27.06

27.48

26.13

23.64

26.95

27.15

25.64

25.65

 

表(1)を作成するために用いた阻止円直径の実測値を表(1.1)として以下に示す。

 

表(1.1)各プレートの阻止円直径の実測値

プレート番号

1

2

3

4

5

6

7

8

9

上の阻止円の直径(mm)

20.00

26.80

32.70

32.80

32.30

32.90

31.62

29.60

29.45

下の阻止円の直径(mm)

19.65

26.60

31.90

32.40

32.50

31.80

31.45

29.30

29.40

左の阻止円の直径(mm)

18.05

26.20

31.50

32.70

32.70

32.00

32.45

29.10

29.55

右の阻止円の直径(mm)

18.00

26.20

32.80

32.30

31.90

31.30

32.50

28.25

29.10

平均値(mm)

18.93

26.45

32.23

32.55

32.35

32.00

32.15

29.06

29.38

 

  • 未知試料濃度の算出結果とその算出方法

 

各プレートごとに未知試料濃度を算出した。(表(2)) その際に用いた算出方法は

検量線の直線:y = 6.8637ln(x) + 19.226より

  未知試料濃度(mg/ml)={阻止円径(mm)-19.226}/6.8637ln(x)

 

表(2)各プレートごとの(1/2)未知試料濃度

プレート番号と濃度

6:未知試料濃度(mg/ml)

7:未知試料濃度(mg/ml)

8:1/2未知試料濃度(mg/ml)

9:1/2未知試料濃度(mg/ml)

 

6.57

5.30

9.84

9.61

 

5.60

5.17

9.42

9.54

 

5.76

5.98

9.15

9.75

 

5.20

6.02

8.08

9.13

平均

5.78

5.61

9.12

9.51

 

   また表(2)から未知試料、1/2未知試料濃度の平均値を求め、その値を算出結果とした[表(3)]

        

表(3) 未知試料と1/2未知試料濃度の算出結果

未知試料濃度(mg/ml)

5.70

1/2未知試料濃度(mg/ml)

9.31

 

[検討項目]

 

  • その他の抗生物質力価検定法について

キシテトラサイクリン飼料添加剤の力価試験

オキシテトラサイクリン飼料に含有されるオキシテ トラサイクリンは,1%憐酸緩衝液(pH6.0)を抽出液として使用した場合は,かなり低い値を示すが,試験的に添加したオキシテトラサイクリンは殆んど完全に検出できる。5 %重硫酸カリ水溶液を使用すれば,含有オキシテトラサイクリンは表示力価に近い値を示 し,また試験的に添加したものも殆んど完全に検出できるようである。

 

クロールテトラサイクリン飼料添加剤の力価試験

クロールテトラサイクリン試料にあっては,ア ゼトン液が最も適当な抽出液で,これによれば含有クロールテトラサイクリンの大部分及び試験的に添加したものは殆んど完全に平板円筒法によって検出できると考えられる。抽出時間は,5分のものと20分,40分,60分までのものとの間に差異は認められなかった。抽出液として使用した 。    

ETA水溶液はそれが単独である場合は,かなり濃度を高めてもSarcina luteaの平板法による阻止力は変らないが,クロールテトラサイクリンを混合すればETAの濃度が高まるにつれ,阻止帯が大 きくなる傾向が認められる。

 

  • クロラムフェニコールの抗菌作用機構について     

フェニコール系抗菌剤は,時間依存的かつ静菌作用が 特徴であり,グラム陽性菌,グラム陰性菌だけでなくク ラミジア,マイコプラズマ及びリケッチアに対しても抗 菌活性を示し,広い抗菌スペクトルを有する[4].また,細菌の70S リボソームの50S サブユニットに存在する ペプチジルトランスフェラーゼ活性中心に可逆的に結合 し,タンパク質の合成を阻害することで効果を発揮する。クロラムフェニコールは,化学構造にニトロ基(-NO2)を 有し,これが再生不良性貧血の原因であると考えられて いる.一方,チアンフェニコール及びフロルフェニコー ルは,クロラムフェニコールのニトロフェニル側鎖のニ トロ基をスルホニル基に置換した構造を有しているため,再生不良性貧血を引き起こさない.また,フロルフェニコールは,クロラムフェニコール及びチアンフェニコールの第3位炭素の水酸基をフッ素に置換し た構造を有している.そのため,第 3 位炭素の水酸 基を特異的にアセチル化するクロラムフェニコールアセ チルトランスフェラーゼ(CAT)をコードする cat 遺伝 子を保有している細菌は,クロラムフェニコール及びチ アンフェニコールに耐性を示すが,フロルフェニコール には耐性を示さない。

 

[実験考察]

正規分布について

   表(4)正規分布を求める上で必要な値

平均未知試料濃度(mg/ml)

7.51

標準偏差

1.900843

サンプル数

16

標準誤差

0.475211

 

標準偏差が大きいため、一概に正しいとは言えないが、グラフの頂点が未知試料濃度7.7~7.8(mg/ml)付近に存在し、求めた平均未知試料濃度7.51(mg/ml)は誤差が一番小さい時を考えると、

1.900843-0.475211=1.425632であり、7.51±1.475211だから範囲としては、6.034789~8.935632となり、正規分布のグラフ頂点の値はこの範囲内に存在する。

           

 [参考文献]

─動物用抗菌性物質を取り巻く現状(ⅩⅨ)─ 動物用抗菌剤の各論( フェニコール系抗菌剤 白川崇大(農林水産省動物医薬品検査所検査第二部 安全性検査第一領域)

  http://nichiju.lin.gr.jp/mag/07103/a2.pdf#search=’%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%8A%97%E8%8F%8C%E4%BD%9C%E7%94%A8%E6%A9%9F%E6%A7%8B’

 

抗生物質飼料の力価試験について(二宮 幾代治)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/antibiotics1953b/8/7/8_271/_article/-char/ja/

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